相続税の申告手続きの手引き|知らないと損する控除制度まとめ

~いざという時の備えに~相続税コラム

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相続税コラム
2016.2.25

相続税の申告手続きの手引き|知らないと損する控除制度まとめ

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相続税の場合、「自動的に相続税が決定され、それに従って納税するほかない」と考える人が大半だと思います。しかし、手探りで手続きを進めてしまうと、思わぬところでつまずいたり、期限内に申告を終えることができなかったり…。ただでさえ身近な人の死から間もない慌ただしい時に、さらに精神的な負担となってしまいかねません。
 
「相続税ってどうやって計算するのだろう?」「申告と言っても、具体的に何をしたらいいのだろう?」「そもそも申告って必要なの?」このような疑問を解消すべく、相続税の申告手続きの手引き書として、ここにまとめました。

 

 

【目次】
相続税の申告
申告要否の判断
相続税申告が不要なケース
相続税はゼロなのに、申告が必要なケース
申告は不要だが税務署からお尋ねがくるケース
相続税を計算する上で知っておくべきこと
相続税の税率
税額加算・税額控除

相続税の算出方法
相続税申告の期限
被相続人の死亡から10ヶ月以内
申告書の提出先
納付方法
申告期限を過ぎてしまったら
 ■期限以内に申告がされなかった場合のペナルティ
延滞税
過少申告加算税
無申告加算税
重加算税
相続税申告を税理士に依頼する前に知っておくべき3つのこと
税理士に頼んだ際の相場
税理士に頼むメリット
税理士次第で相続税が変わる
 ■まとめ

 

相続税の申告

相続税の申告をするときは、被相続人(財産をあげる人)が死亡した時の住所地を所轄する税務署に、相続税の申告書を提出します。

ただ、相続や遺贈によって取得した財産および相続時精算課税の適用を受ける財産の合計額が基礎控除以下のときは、相続税の申告も納税の必要もありません。しかし配偶者控除の場合は、申告することで初めて適用になります。よって相続税がゼロのときでも申告する必要があります。
 
申告期限内に申告をしなかった場合や、実際にもらった財産の額よりも少ない額で申告をした場合には、本来の税金の他に税金がかかるので注意が必要です。

ただし相続税の納付金額は、遺産分割が確定しないと決まりません。申告期限内に遺産分割ができず間に合わない場合、ひとまず“法定相続分にしたが遺産分割をした”として各相続人が相続税を払います。そして正式に遺産分割が終わったあとに、相続税の過不足を精算するようにします。

 
≪申告時に必要な書類≫

 

必要添付書類

備考

 

戸籍謄本

家族全員の記載があるもの

1部

住民票

家族全員の記載があり、省略のしていないもの

1部

印鑑証明書

遺産分割協議書への捺印の時に必要

1部

 
相続税の申告において、基本的なことをさらに解説していきましょう。
 
 

申告要否の判断

相続税の申告が必要な人は、実は全体の約5%程だといわれています。

相続税には基礎控除という大きな控除があるので、相続税がかかるかどうかはまずこの基礎控除以上の財産があるかを確認することから始まります。

 

相続税申告が不要なケース

相続税の基礎控除は、3,000万円+法定相続人の人数×600万円までは非課税となります。

例えば夫が亡くなり、妻と子供2人が相続人の家庭を想定すると、3,000万円+600万円×3人の合計3,600万円までの財産であれば相続税が一切かかりませんし、相続税の申告も必要ありません。
 

相続税はゼロなのに申告が必要なケース

例え相続税が最終的にゼロでも、小規模宅地等の特例による評価減や配偶者控除の適用を受けるためには、相続税の申告が必要になります。

配偶者控除があるから申告はしなくてもも良い訳ではなく、期限内に申告をしなければ控除が受けられず、余分な税金を払うことになるので注意しましょう。
 

申告は不要だが税務署からお尋ねがくるケース

相続財産が基礎控除以下だった場合でも、税務署から「申告が必要ではありませんか?」という“お尋ね”が送られてくることがあります。その場合は、基礎控除以下のため申告が不要である旨を文書で伝えることになります。
 
 

相続税を計算する上で知っておくべきこと

相続税を自身で計算する際は、以下の点を踏まえて計算を行いましょう。 
 

相続税の税率

税率が改定され、平成27年1月1日から、下記相続税の速算表の2億円超部分が45%に、6億円超部分が55%というように引き上げられました。
 
≪相続税の税率早見表≫

法定相続人の取得金額

現行

改正後

税率

控除額

税率

控除額

1千万円以下

10%

10%

1千万円超 
3千万円以下

15%

50万円

15%

50万円

3千万円超 
5千万円以下

20%

200万円

20%

200万円

5千万円超 
1億円以下

30%

700万円

30%

700万円

1億円超 
2億円以下

40%

1700万円

40%

1700万円

2億円超 
3億円以下

45%

2700万円

3億円超 
6億円以下

50%

4700万円

50%

4200万円

6億円超

55%

7200万円

 
 
【事例】法定相続人が子2人で、遺産6億円の場合

改正前:
6億円-基礎控除額7000万円=5億3000万円
5億3000万円×法定相続分1/2=2億6500万円(この金額に税率を乗じる)
(2億6500万円×40%-1700万円)×2人=1億7800万円(相続税の総額)

 

改正後:
6億円-基礎控除額4200万円=5億5800万円
5億5800万円×法定相続分1/22億7900万円(この金額に税率を乗じる)
(2億7900万円×45%-2700万円)×2人=1億9710万円(相続税の総額)


上記のように、基礎控除を控除し法定相続分で分けた後に税率を乗じますので、かなり財産が大きい人が対象です。

 

税額加算・税額控除

税額控除は以下の①から順番に行い、税額加算分も計算していきます。
 

①贈与税額控除

相続開始前3年以内の贈与された財産は、相続税の対象となります。したがって、贈与したときに支払った贈与税を相続税から差し引くことができます。
 

②配偶者控除

配偶者は、法定相続分または1億6,000万円分を控除することができます。
 

③未成年控除

法定相続人が未成年の場合、満20歳までの年数1年毎10万円を控除することができます。
 

④障害者控除

障害者が法定相続人の場合、満85歳までの年数1年毎10万円(特別障がい者の時は、1年毎20万)を控除することができます。
 

⑤相次相続控除

10年以内に相続が続いた場合、2回目以降の相続では、前回の相続税額から、今回の相続までの経過1年につきマイナス10%の金額を今回の相続から控除できます。
 

⑥外国勢税額控除

海外で相続税を納めた場合、その分を日本の相続税から控除できます。
 

⑦相続税精算課税における贈与税額の控除

相続時選択課税(2,500万円という多額の贈与が無税で可能になる制度)を選択した人は、相続時にそれまで受けた贈与財産を相続財産に合算することになりますが、既に支払った相続時精算課税にかかる贈与税相当額は相続税額から控除できます。
 

⑧相続税の2割加算

被相続人の子供、父母、配偶者以外の人が相続や遺贈によって財産を得た場合、税額は2割増しとなります。

 

相続税の算出方法

相続税額の算出方法は、まず全体の税額を求めてから税額を各相続人の実際の取得割合に応じて分けることとなります。
 

  1. ①基礎控除を引く

  2. ②法定相続分で按分し相続税の総額を求める

  3. ③実際の取得分で按分する


上記の3段階に分けることができ、計算式はこのようになります。
 
相続税額=(遺産総額(1)—基礎控除額(2))相続税率(3)—税額控除

 
 

相続税申告の期限

ここでは、相続税の申告についての詳細を記述します。申告にも期限がありますので、きちんとスケジューリングをした上で、期限内に申告を完了させましょう。

 

被相続人の死亡から10ヶ月以内

申告の期限は、被相続人の死亡を知った日から10ヶ月以内となります。例えば、2月1日に死亡した場合にはその年の2月1日が申告期限になります。(申告期限が土曜日、日曜日、祝日などにあたる場合は、その翌日が期限となります。)
 
≪相続のタイムスケジュール≫

申告書の提出先

相続税の申告書は、相続人の住所地を管轄する住所地ではなく被相続人の死亡時における住所地を管轄する税務署となります。

 

納付方法

相続税の納付は、申告と同様に10ヶ月以内に行わなければなりません。実際の納付は、税務署だけでなく金融機関や郵便局の窓口でも可能です。また、税金は金銭で一度に納めることが原則ですが、相続税については特別に延納(何年かにわけて納めるもの)物納(相続などでもらった財産そのもので納めるもの)という制度があります。

これらの制度を利用する場合には、申告書の提出期限までに税務署に申請書等を提出して許可を受ける必要があります。
 

申告期限を過ぎてしまったら

申告期限内に申告できなかった場合や、実際に取得した財産よりも少ない額で申告した場合は、本来の税金の他に加算税や延滞税がかかることがあります。また、申告期限を過ぎてしまうと延納や各種特例が使えなくなってしまう等、ペナルティがありますので注意が必要です。

このペナルティについての詳細は、次でさらに解説していきます。
 
 

期限以内に申告がされなかった場合のペナルティ

「罰金」と言うと聞こえは悪いかもしれませが、期限以内に申告しないと、払わなくてもよいお金を払うことになってしまいます。では、期限以内に相続税の申請を行わないと、一体どのようなペナルティがあるのでしょうか?ここで解説していきます。

 

延滞税

相続税の納付期限(被相続人の死亡を知った日から10ヶ月以内)までに税金の納付がなされなかった場合に発生する税金です。
 

・納期限の翌日から2か月以内に納付した場合…「年7.3%」と「前年の11月30日の公定歩合+4%」のいずれか低い方
・納期限から2か月を超えた場合…年14.6%

 

過少申告加算税

申告期限内に提出された申告書の金額が不足していた場合に課される追徴課税です。
 

・法定期限までに相続税の申告書を提出し、その申告書の税額が過少であった場合、自主的に修正申告をするとき…なし
・法定期限までに相続税の申告書を提出し、その申告書の税額が過少であった場合税務署に指摘されて修正申告をするとき…10%
・税額が期限内申告税額と50万円のいずれか大きい金額を超えるときの超える部分…15%


 無申告加算税

正当な理由なく申告期限までに申告しなかった場合に課される税金です。
 

・法定申告期限までに申告せず、自主的に期限後申告するとき…5%
・法定申告期限まで申告せず、税務調査により期限後申告するとき…納税額のうち50万円までの部分→15%、納税額のうち50万円を超える部分→20%

重加算税

隠蔽や仮装がある場合に課される追徴課税です。 
 

・申告書を提出した場合で、財産を隠蔽又は事実を仮装していたとき…35%
・申告書を提出しなかった場合で、財産を隠蔽又は事実を仮装していたとき…40%

 

相続税申告を税理士に依頼する前に知っておくべき3つのこと

相続税の申告という不慣れなことを自分ひとりの力だけで行おうとしても、どうしても足踏みしがちです。プロに依頼するのが一番確実で早い方法ですが、その上で事前に知っておいたほうが有益なことをここではいくつか紹介します。

 

税理士に頼んだ際の相場

税理士に相続税の申告を依頼した場合の報酬は遺産総額の0.5%~1%程度で、仮に1億円の遺産相続なら、50万円~100万円が税理士報酬となります。

ただし、相続争いになった場合や、遺産調査が長引いたなどの場合は、別途費用がかかる場合があります。特に遺産の総額を調べるのには、かなりの手間がかかりますし、相続に土地が含まれる場合はなおさらですので、あくまでも目安となります。

 

詳しく費用について知りたい方はこちらの【税理士に依頼した場合の費用の相場】の記事もご覧ください。

 

税理士に頼むメリット

当然ながら税理士には、迅速かつ効果的な相続税申告を行う経験やノウハウがありますので、依頼人の心身的な負担や時間的な負担はかなり軽減されることになります。

相続には、両親の片方(例:父親)が亡くなった場合に発生する一次相続と、さらにもう片方の親(例:母親)が亡くなった場合に発生する二次相続があります。この二次相続において、税理士であれば中長期的な対策が取れるので、事業承継などの事前対策もしやすくなります。

 

税理士次第で相続税が変わる

相続税の申告は、税理士の力量次第で大きな差が出ることがあるので、同じ人の相続税の計算であっても、税理士によって相続税自体が変わってくるということはよくあります。

税法の解釈、税法と現場の評価の仕方は人それぞれです。遺産が多額ではなく、相続税の申告の手続き代行だけを依頼するのなら、税理士報酬の相場の安い先生に頼むのもありでしょう。(参考→税理士に依頼した場合の費用の相場

 

まとめ

最低限、自分が相続税の申告を行う必要があるのか否かだけでも理解しておきましょう。相続税の計算そのものは複雑な計算式ではありませんが、それでもやはり相続のプロフェッショナルと共同で、申告や手続きを行えば間違いはありません。くれぐれも、ペナルティによる余計な出費だけは避けたいところです。

 

編集部

本記事は相続税相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続税相談ナビに掲載される記事は税理士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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