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農地の相続でかかる相続税は?|納税猶予の特例を受けるための要件

Nouchi

農地は普通の土地と比較して扱いが異なるため、相続をする場合には農業委員会へ届出をする必要があります。それと、農地を相続した相続人(農業後継者)の支援を図る制度である納税猶予の特例も、農地の相続では重要になります。

 

農地の相続でかかる相続税の算出方法は基本的に、マンションなどの建物や宅地と同じような基準になり、評価額と基礎控除額によって相続税率が決まりますが、農地では納税猶予の特例が適用される場合があるため、適用条件や制度の内容を覚えておくべきでしょう。

 

今回は農地に関する相続税の特例制度と併せて、農業委員会への届出について取り上げていきたいと思います。

 

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 【目次】
農地の相続でかかる相続税の算出方法
農地の評価方法
相続税の基礎控除額により一切の税金がかからない場合が多い
基礎控除後の課税価格に応じて相続税率が決まる
農地の相続で適用される納税猶予の特例とは?
農業投資価格を超える部分に対応する相続税が猶予される
猶予された相続税は条件を満たせば免除される
納税猶予の特例を受けるための要件
納税猶予の特例の届出方法と注意点
相続税の納税猶予に関する適格者証明書を取得する
相続税の申告手続きに加えて納税猶予期間中の継続届出も必要
農地等納税猶予税額を納付しなければならないケースもある
農地相続の手続き|農業委員会の届出と許可について
農地の相続では農業委員会の届出が必要
最寄りの農業委員会へ届出書を提出する
農地の売却や貸借のケースでは届出ではなく許可が必要になる
まとめ

 

 

農地の相続でかかる相続税の算出方法

農地の相続では宅地や建物と同様に相続財産として扱われるため、評価額と基礎控除額によって課される相続税の額が決まります。以下では農地の評価方法と相続税の算出方法について見ていきましょう。

 

農地の評価方法

土地に関しては都市計画などが原因で地価に差異があるため、農地の評価方法は以下表の通り、場所によって評価基準が異なります。

 

農地の区分

評価方法

純農地

倍率方式:農地の固定資産税評価額に、
国税局長が定める一定の倍率を乗じて評価する

中間農地

市街地周辺農地

宅地比準方式 ×80%
※宅地比準方式とは:その農地を宅地とみなした場合の価額から、その農地を宅地に転用する場合にかかる造成費に相当する金額を控除して評価する。

市街地農地

宅地比準方式 または 倍率方式

参考:「国税庁 農地の評価

 

※市街地周辺農地や市街地農地の価額については、市街地農地等の評価明細書を利用して評価することができるようです。

 

相続税の基礎控除額により一切の税金がかからない場合が多い

相続税について遺産総額が基礎控除額より大きくならない限り、課税されません。したがって、相続税が課されるかどうかを確認するためには、以下で説明する相続税の基礎控除額を把握する必要があるでしょう。

 

相続税の基礎控除額:3,000万円+相続人の数×600万円

 

相続人が多いほど基礎控除額が高くなり、たとえば相続人が3人いる場合は4,800万円までの遺産総額であれば、相続税がかからないことが分かります。

 

基礎控除後の課税価格に応じて相続税率が決まる

遺産総額が基礎控除額より高く相続税が発生するケースについて考えると、各相続人に分配された遺産の総額(課税価格)に応じて、以下表のように相続税の税率が定められています。

 

表:相続税の速算表

課税価格

税率

控除額

1,000万円以下

10%

-

3,000万円以下

15%

50万円

5,000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

2億円以下

40%

1,700万円

3億円以下

45%

2,700万円

6億円以下

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

参考:「相続税の税率

 

例として、3,000万円相当の遺産を相続した場合には、3,000万円 ×0.15 – 50万円(控除額)= 400万円の相続税が課せられることになります。

 

以上が農地の評価方法と相続した財産にかかる相続税の算出方法になりますが、相続財産が農地だった場合に適用される特例について次項で見ていきましょう。

 

 

農地の相続で適用される納税猶予の特例とは?

農地の相続では高額な相続税を負担しなければならないことを理由に、農業の継続を諦めて農地を売却してしまう問題があるため、農業経営の持続化を目的に税制面の優遇を意図した納税猶予の特例が設けられています。

参考:「農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例

 

農業投資価格を超える部分に対応する相続税が猶予される

相続税納税猶予の概要は以下図の通り、本来の相続税額のうち農業投資価格を超える部分に対応する相続税の納税が猶予されるものになります。

 

なお、農業投資価格とは農地などが恒久的に農業で利用される土地として自由な取引がされるとした場合に、通常成立すると認められる価格として国税局長が決定した価格のことであり、目安として10アール当たり20万円~90万円程度です。

 

引用元:農林水産省 農地を相続した場合の課税の特例(相続税納税猶予制度)

 

猶予された相続税は条件を満たせば免除される

上記の特例により猶予された相続税は、以下のような条件を満たした場合には免除になり、相続税を支払う必要がなくなります。農地を相続した者が死亡した場合や20年以上農業を継続した場合、特定の条件を満たした生前贈与をした場合などが免除の対象です。

 

  • 特例の適用を受けた相続人が死亡した場合
  • 特例の適用を受けた相続人が相続税の申告書の提出期限より、農業を20年間継続した場合
  • 特例の適用を受けた農業相続人が特例農地の全部を租税特別措置法第70条の4の規定に基づき、農業の後継者に生前一括贈与した場合

 

納税猶予の特例を受けるための要件

また、納税猶予の特例を受けるための要件も、被相続人と相続人の両者で定められています。被相続人が死亡した日まで農業を営んでいたことや、相続税の申告期限までに相続人が農業経営を開始していることなどがポイントになります。

 

引用元:農林水産省 農地を相続した場合の課税の特例(相続税納税猶予制度)

 

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納税猶予の特例の届出方法と注意点

納税猶予の特例の目的や概要について上記で解説しましたが、農地を相続する人は特例の届出方法や注意点も確認しておきましょう。場合によっては猶予された納税額を納付しなければならないケースもあるようです。

 

相続税の納税猶予に関する適格者証明書を取得する

納税猶予の特例を受けるためにはまず、相続税の納税猶予に関する適格者証明書を農業委員会より取得する必要があります。適格者証明を受けるためには証明書のほかに、

 

  • 特例適用農地等の明細書
  • 農地の案内図
  • 遺産分割協議書
  • 戸籍謄本

 

などの書類も必要になるため、市役所にある農業委員会事務局まであらかじめ確認しておきましょう。

 

相続税の申告手続きに加えて納税猶予期間中の継続届出も必要

相続税の納税猶予に関する適格者証明書を税務署へ提出するほか、納税猶予の特例を受け続けるために、農業経営に関する事項などを記載した継続届出書を提出する必要があります。

 

納税猶予の特例は長期的な制度になるため、定期的に届出をする必要があり、仮に継続届出書を提出しなかった場合は以下の通り、特例の対象外になります。

 

農地等納税猶予税額を納付しなければならないケースもある

詳しくは国税庁のホーム―ページにある『農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例』をご確認いただければと思いますが、以下のようなケースに該当する場合は特例を受けられず、猶予された相続税を納付しなければなりません。

 

  • 納税猶予の特例を受けた農地で譲渡などがあった場合
  • 納税猶予の特例を受けた農地における農業経営を廃止した場合
  • 継続届出書の提出がなかった場合

 

 

農地相続の手続き|農業委員会の届出と許可について

農地の相続で課される相続税の一部が猶予される(または免除される)制度について説明しましたが、農地の相続で原則として手続きを取る必要がある届出について最後に取り上げていきます。

 

農地の相続では農業委員会の届出が必要

仮に納税猶予の特例を受けず、適格者証明書を取得(または提出)しない場合でも、農地を相続する場合には農業委員会への届出が義務付けられています。

 

農地の扱いについては農地法で定められており、農地法第3条では所有権の移転において農業委員会への許可が必要なことが決められていますが、同法第3条12号の規定により許可は必要ないという決まりになります。

 

(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)

第三条  農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合及び第五条第一項本文に規定する場合は、この限りでない。

引用元:「農地法 第3条

 

十二  遺産の分割、民法 (明治二十九年法律第八十九号)第七百六十八条第二項 (同法第七百四十九条 及び第七百七十一条 において準用する場合を含む。)の規定による財産の分与に関する裁判若しくは調停又は同法第九百五十八条の三 の規定による相続財産の分与に関する裁判によつてこれらの権利が設定され、又は移転される場合

引用元:「農地法 第3条 12号」

 

許可と届出は似たような言葉になりますが厳密には違う手続きであり、許可の場合は申請しても却下される場合があり、届出の場合は申請すれば基本的に要求が通るといった意味になるでしょう。

 

最寄りの農業委員会へ届出書を提出する

農地の相続では許可が必要なくても、農地相続を農業委員会へ申告することが求められるため、農地を取得したことを知った日(被相続人が死亡したことを知った時点から)10ヶ月以内に最寄りの農業委員会へ届出書を提出しましょう。

 

10ヵ月以内に届出書を提出しなかった場合10万円以下の科料(罰金)を支払わなければならなくなる可能性もあるため、提出期限には注意しましょう。

 

なお、届出書は権利を取得した者(相続人)の氏名や農地の所在、権利を取得した理由などを記載しますが、農林水産省のホームページで公開されている『農地の相続等の届出のお願い』で書面の様式を確認できます。

 

農地の売却や貸借のケースでは届出ではなく許可が必要になる

相続とは別になりますが、農地の売却や貸借のケースでは上記で取り上げた農地法第3条に従い、一定の要件を満たした上で農業委員会への許可を受ける必要があります。

 

許可を受けずに所有権を移転する行為は無効になってしまうため、相続以外で農地の所有権を移転する場合の手続きも重要になります。

参考:「農林水産省 農地の売買・貸借・相続に関する制度について

 

まとめ

農地の相続で課される相続税額と納税猶予の特例について、お分かりいただけましたでしょうか。

 

農業後継者における相続税の負担を考慮して、国側より納税の猶予と免除が認められていますので、農地を相続して農業経営を続けていく際には納税猶予の特例手続きを取るべきでしょう。

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本記事は相続税相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続税相談ナビに掲載される記事は税理士が執筆したものではありません。  本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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